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鯉のぼり(こいのぼり)

 大竹市で手描きの鯉のぼりが作られ始めた時期は明らかでない。大竹和紙を用いて、戦前からすでに作られていたことは確かである。最盛期は、昭和27、8年ころであった。木綿製のものもあったが、重たくてよく泳がないので、和紙の鯉のぼりが好まれたようである。しかし、昭和40年頃からナイロン製のものが普及して、紙製のものは一挙に少なくなった。今は民芸品として部屋などに飾られるくらいで、長さ1.5メートルのものが最も好まれる。
 一匹の鯉のぼりに3人が手分けして色づけをする。ベテランの人が輪郭を描いておき、まず目から色をぬる。ゆっくり塗ると紙に滲むので、さっと手ぎわよく色を入れていく。色が重なると変色するので気を使う。うろこの表裏の色を塗り合わせたり、金時の絵を描き込んだりするのには、特に心を配る。5メートルの大きさのものもあるが、小さいものでも同じように手がかかる。
 柔らかい手漉き和紙にあざやかに彩られた鯉のぼりには、いまもファンが多く、シーズンになるとその製作に忙しい。
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