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常石張子人形(つねいしはりこにんぎょう)

 備後地方では旧暦の8月1日を八朔(はっさく)の節句として、初生児の誕生祝としてでこ人形を贈る風習があった。三次の人形は藩祖浅野長治が家臣に贈った古事を継ぐものであるが、常石人形は明治20年ころに、沼隈町常石の宮本久平がこれに習って泥人形を作り、節句や八朔の縁起物として籠(かご)に入れて売り歩いていたことに由来する。
泥人形は壊れやすく重いので、張り子にすることを思いつき、木型へ水に漬(つ)けた紙を張り、型抜きしたものに胡粉(ごふん)を塗って、その上に彩色して仕上げた。
天神さん、乙姫さん、武者人形、浦島太郎、猫抱き、大福帳持ち、お染久松、さらに当時の創作人形と思われる明治の兵隊鎮台さんが馬に乗ったものなど150種にも及ぶ。初代久平に続いて、二代目峯一、そして現在は孫の三代目喜孝氏によって受け継がれ、全国から注文が殺到している。
昔ながらの和紙の張り子に泥絵具で彩色されているので、素朴な味の作品となって大人の観賞用の郷土玩具(がんぐ)としてもてはやされている。
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