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百万遍念珠繰り(ひゃくまんべんねんじゅぐり)

 多聞寺の本尊「毘沙門天」に新しい年の無病息災を祈って百万遍数珠を繰る。毎年正月3日、着飾った参拝客が次々と境内へ。参拝を済ませた信者たちは、境内のたきびを中心に輪になって座り、住職の唱えるお経に合わせ大数珠を繰りながら回す。
数珠玉は、大きいのが直径12センチ、小さいものでも6センチある。信者の数と同数の486個の玉を継ぎ合わせたもので、直径8メートルの大きな輪になる。この大きな数珠を7、80人が抱え、次から次へと回す。30分で次のグループにバトンタッチ、読経と数珠繰りが延々と続く。玉の一つ一つに信者の名前を刻んだ、この大数珠を古老たちは「日本一」と自負している。
昭和37年、同寺で見つかった古文書によると、数珠繰りを始めるきっかけになったのは、宝暦9年(1759)の7月、地区一帯を襲った疫病や綿・稲の病害虫である。なんとか、病魔を退散させたいと考えた土地の組頭たちが、朴(ほお)の木に各々の名前を刻んだ大念珠を作り、祈ったところ、さしもの病魔も治まった−と由来を記してあった。
この古文書の発見を機に、町内から大数珠を再現しようという話が持ち上がり、38年の正月から伝統の数珠繰りが復活した。
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