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みあがりおどり(みあがりおどり)

 この踊りは、現在は尾道市御調町の高御調八幡の秋祭りに奉納される祝儀の踊りとなっている。その源流は古く平安期の物語にものせられた田楽にあり、それに念仏踊りの趣向が加わって、雨乞踊りとして永く踊り続けられ今日のようになったものと考えられている。以前は田植姿のままで、鉦、太鼓の囃子ではやしていたようだが、その太鼓を左半身に移し、バチで右側のみを打つこととし、その動作を自由円滑にしたところに工夫がみられる。十数人が円形をつくり、「頭」と称するリーダーを中心に鉦にあわせて足を高くあげ、強く地面を踏みしめつつ太鼓を打ち、それを繰り返し円く巡ることによって、災厄をもたらす悪霊を鎮定しようとするものである。その曲調は途中の「天竺」をはさんで、前に6曲、後に7曲が配置され、「田楽」などでいわれる「宮参り」の趣向をとり、その名のように「宮上り」に出発したところから、次第に宮に近づく興奮を盛り上げ、「天竺」で宮に参向した喜びと安らぎを、問答形の踊りで表現し、つづいてその祝福にひたりつつ帰り行く状況を写して、調子も急調に、最後に「てんね拍子」という目に残る舞い納めをもって終わる明朗雄壮な情趣をたたえるおどりである。
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