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亀山八幡さん(かめやまはちまんさん)

 10月9、10日に行われる秋祭り。亀山神社(同市清水一丁目)は呉の総氏神で、市中心部の中通、本通などの商店街から約500メートルの参道、境内までぎっしり人で埋まる。別名「人祭り」とも言われ、市内はもとより周辺町からも参拝に訪れ、2日間延べ20万人もの人出になる。
 宵祭りの9日は社殿で神事が営まれる一方、夕刻から境内の舞台で舞踊が奉納される。本祭りの10日は午前10時からの祭礼に続いて午後は「ヤブ」という鬼に先導されて、若者の俵みこしやたるみこしが参道から社殿へ。圧巻は社殿に入ろうとするみこしとそれを阻むヤブの押し合い。力のこもった激突が繰り返される度に、境内いっぱいの参拝者から歓声と拍手。祭りはクライマックスを迎える。
 最後に押し切ったみこしが、祭神を乗せたみこしを先頭に再び、参道を下る。約150メートルに及ぶ行列は本通、中通と中心街を抜けて途中「お旅所」での祭礼を経て、社殿へ戻って来る。
 呉の秋祭りに欠かせないのが、いがもち。もち米の粉であんを包み、赤や黄、緑の食紅で染めた米粒を乗せて蒸し上げる。白米など口にすることの少なかった昔、雑穀の粉でつくったもちに数粒の米をのせてせめてものぜいたくを味わった。また胃を病む僧が食べたところ腹具合が良くなり「胃が持つ」と言ったのが始まり、とも言われるが、正確な由来は不明。いがもちが売られるのは祭り当日に限られており、今も「古里の祭りの味」として人気を呼んでいる。
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