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柏島の管絃祭(かしわじまのかんげんさい)

 海上交通の安全と豊漁を願って7月初旬の日曜日、三津口湾に浮かぶ柏島を中心に繰り広げられる管絃祭である。柏島神社の神事は古くから催されてきたが、管絃祭の歴史は比較的浅く、明治初期から始まったと伝えられている。
 祭りは午後3時から柏島神社で始まる。ご神体がみこしに乗り、若者たちが境内で威勢よく練り歩いたのち本番の海上絵巻へ。色鮮やかな天幕が張られ、「柏島神社」と大書されたのぼりで飾った御座船3隻が横1列に並び、尾道市吉和町と地元安浦町の若者たちが漕ぐ引き船4隻が先導する。御座船のへさきに立つ指揮者が幣(へい)を掲げて針路を示すと、大漁旗を押し立てた供船約100隻が右へ左へとうねりながら進む。
 笛や太鼓の調べが流れる中で柏島の周囲約4キロの海上を1周し、祭りはクライマックスに。御座船が神社に還御すると、供船は次々と船列から離れて母港へ向かう。島を中心に放射線を描いていた船団が東西南北に離散する様は壮大なみどころである。
 同神社の大祭は宮島、大三島と並ぶ瀬戸内三大管絃祭の1つ。信仰に裏打ちされた勇壮な海のページェントを見んものと、尾道、竹原、豊島、蒲刈上・下島などから漁船多数が集まる。祭りの始まる前には船上にごちそうを並べての酒盛り。1年間の無事を願って海に生きる人々の交歓が続く。神社近くの海岸にも露店が所狭しと並び、家族連れなど多くの参拝客でにぎわう。
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